喘息は、気道に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道が狭くなりやすくなる病気です。

発作的に、

・「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音
・咳
・息苦しさ
・胸の圧迫感

などが起こります。

子どもにも大人にもみられます。

最近の医学では、喘息は単なる「気管支が狭くなる病気」ではなく、「気道の慢性炎症」が続く病気と考えられています。国内のガイドラインでも、気道炎症の機序に関する知見が継続的に整理・更新されています。[1]

症状がない時期でも、気道の炎症が残っていることがあるため、継続的な管理が重要です。

なぜ起こるの?

喘息では、気道の内側に慢性的な炎症が起こり、気道が敏感な状態になっています。

そこに刺激が加わると、

・気道の筋肉が縮む
・粘膜が腫れる
・痰が増える

ことで、空気が通りにくくなります。

原因や悪化要因は人によって異なりますが、次のようなものが関係します。

・ダニやハウスダスト
・花粉
・カビ
・ペットの毛
・タバコの煙
・大気汚染
・香料や化学物質
・風邪やインフルエンザ
・運動
・冷たい空気
・ストレスや疲労
・気圧や天候の変化
・一部の薬(NSAIDsなど)

アレルギー体質が関係することも多く、家族に喘息やアレルギーがある方では発症しやすい傾向があります。

主な症状は?

代表的な症状は、

・咳
・ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音
・息苦しさ
・胸の締めつけ感

です。

特に、

・夜間
・明け方
・季節の変わり目
・風邪のあと

に悪化しやすい特徴があります。

咳だけが続く「咳喘息」というタイプもあります。

重症化すると、

・息が苦しくて会話が難しい
・横になれない
・唇が紫っぽくなる

ことがあり、救急対応が必要です。

どのように診断するの?

診断では、症状の経過や発作の特徴を確認します。

そのうえで、必要に応じて次のような検査を行います。

肺機能検査(スパイロメトリー)

息をどれくらい強く吐けるかを測定します。

喘息では、空気の通りが悪くなっていることがあります。

呼気一酸化窒素検査(FeNO)

吐く息の中の一酸化窒素を測定し、気道炎症の程度を推測します。
国内のガイドラインでも、FeNOに基づく管理の有用性が重要な臨床課題として取り上げられています。[1]

アレルギー検査

血液検査や皮膚テストで、アレルギーとの関連を調べます。

胸部レントゲン

肺炎や心不全など、別の病気との区別のために行われます。

治療の基本

喘息治療では、「発作を止める」だけでなく、「炎症を抑えて発作を予防する」ことが重要です。

症状が落ち着いていても、自己判断で薬を中断しないことが大切です。

吸入ステロイド薬(ICS)

現在の喘息治療の中心です。

気道の炎症を抑え、発作を予防します。

全身への影響は比較的少なく、多くの患者さんで長期管理に使われます。

ICS+LABA配合薬

吸入ステロイドに加え、気道を広げる薬を組み合わせたものです。

中等症以上でよく使われます。
ICS単剤でコントロールが不十分な場合、長時間作用性β2刺激薬(LABA)や長時間作用性抗コリン薬(LAMA)などを追加することが、国内のガイドラインの治療ステップに示されています。[1]

発作時の吸入薬(SABAなど)

急な息苦しさを和らげるために使います。

ただし、発作時だけに頼る治療は推奨されていません。

その他の薬

症状や重症度に応じて、

・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・生物学的製剤
・漢方薬

などが使われることもあります。

日常生活で大切なこと

喘息は、日々の自己管理も重要です。

・禁煙する
・受動喫煙を避ける
・ダニやホコリ対策を行う
・睡眠不足を避ける
・適度な運動を続ける
・感染予防を行う
・ワクチン接種を検討する

などが役立ちます。

また、吸入薬は「正しい使い方」がとても重要です。

吸入方法がうまくできていないと、十分な効果が得られないことがあります。

定期的に医師や薬剤師へ確認してもらうことが大切です。

軽度〜中等度の発作が起きた場合、まずSABA吸入薬を吸入し、それでも改善が乏しければ、時間をおいて追加吸入することが目安として示されています。
ただし、これは自己判断のみで対応してよいという意味ではなく、事前に医師から具体的な対応方法の指導を受けておくことが推奨されています。[2]

鍼灸は役立つの?

鍼灸は、喘息に対する補助療法として用いられることがあります。

期待されている作用には、

・呼吸に関わる筋肉の緊張を和らげる
・自律神経のバランスを整える
・不安感や緊張を軽減する
・咳による肩や胸のこりを和らげる
・睡眠の質を改善する

などがあります。

一部の研究では、

・症状の改善
・生活の質(QOL)の向上

が報告されています。喘息への鍼治療に関する研究は、結果に一貫性がなく、評価が分かれています。
過去のコクランレビュー(2004年、11件の研究・324例)では、短期間の鍼治療が肺機能などの客観的な指標に有意な効果を示すという十分なエビデンスは得られなかったと結論づけられました。[3]

一方、より新しい系統的レビュー・メタ解析(2023年、16件のRCT・603例、成人を対象、偽の鍼治療との比較に限定)では、鍼治療群で肺機能検査の一指標(FEV1%)や、喘息に関連する生活の質のスコアが、偽の鍼治療群と比較して有意に改善したと報告されています。
ただし、この解析でも、研究間の結果のばらつきが非常に大きいこと(統計学的異質性が高いこと)が指摘されています。[4]

ただし、現時点では、鍼灸だけで喘息の炎症を十分に抑えられることは証明されていません。

そのため、

・吸入治療を基本にする
・鍼灸は補助的に併用する
・発作時は速やかに医療機関を受診する

ことが重要です。

特に、

・強い発作
・息が苦しくて話せない
・吸入薬を使っても改善しない

場合は、救急受診が必要です。

受診の目安

次のような場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

・咳が数週間以上続く
・夜中や明け方に咳や息苦しさが出る
・ゼーゼーする
・運動すると苦しい
・風邪のたびに咳が長引く
・発作が増えてきた
・吸入薬の使用回数が増えている

また、

・息苦しくて会話が難しい
・唇が紫色っぽい
・横になれない

場合は、緊急受診が必要です。

まとめ

喘息は、気道に慢性的な炎症が起こり、咳や息苦しさを繰り返す病気です。

適切な吸入治療と生活管理を続けることで、多くの方が日常生活を安定して送れるようになります。[1]

鍼灸は、

・筋緊張の緩和
・自律神経への働きかけ
・睡眠やストレス管理

などを通じて、症状を支える補助療法として役立つ可能性が一部の研究で示されていますが、これまでの研究結果は一貫しておらず、評価はまだ定まっていません。[3][4]

ただし、喘息の基本治療は医師による吸入治療です。

自己判断で薬を中断せず、医療機関と連携しながら安全に治療を続けることが大切です。

【脚注一覧】

[1] 一般社団法人日本アレルギー学会喘息予防・管理ガイドライン2024作成委員会(編)『喘息予防・管理ガイドライン2024』協和企画, 2024年10月発行.(1998年版以来9回目の改訂。世界的な分類に基づき、喘息の炎症病型を「2型(Type2)喘息」「Type2 low喘息」に整理。新たに「臨床的寛解」の定義・指標を記載。初めて「Clinical Question(CQ)」形式を導入し、FeNOに基づく管理の有用性、ICSコントロール不良時のLABA/LAMA追加の比較などについて、システマティックレビューに基づく推奨を提示)

[2] 岐阜県医師会「喘息ガイドライン(成人用)」(日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』からの引用に基づく解説).(軽度〜中等度の発作時は、SABA(pMDI)を1〜2吸入し、効果不十分であれば1時間まで20分おきに吸入を繰り返すことを目安とする。医師の指示は口頭では不十分であり、具体的な自己管理計画書(アクションプラン)を作成して患者に渡しておくべきとされる)

[3] McCarney RW, Brinkhaus B, Lasserson TJ, Linde K. Acupuncture for chronic asthma. Cochrane Database Syst Rev. 2004;(1):CD000008. doi:10.1002/14651858.CD000008.pub2.(11件の研究・324例を対象としたコクランレビュー〔2009年に本文の変更なく再掲載〕。試験報告の質が全般的に低く、短期間の鍼治療が客観的な肺機能指標に有意な効果を持つという十分なエビデンスは見出されなかったと結論づけている)

[4] Pang J, Shergis JL, Zheng L, Liu S, Guo XF, Zhang AL, Lin L, Xue CCL, Wu L. Clinical evidence for acupuncture for adult asthma: Systematic review and meta-analysis of randomised sham/placebo-controlled trials. Complement Ther Med. 2023;75:102956. doi:10.1016/j.ctim.2023.102956.(成人喘息を対象とした16件のRCT・603例のシステマティックレビュー・メタ解析。偽鍼・プラセボ鍼と比較して、鍼治療群ではFEV1%〔平均差6.11、95%信頼区間0.54–11.68〕、Cai's Asthma Quality of Life Questionnaire〔平均差7.26、95%信頼区間5.02–9.50〕などの改善が報告された。一方、FEV1%では研究間の異質性が非常に高く(I²=93%)、著者らも、より大規模で質の高い研究が必要としている。)

・これらは、お知らせブログの過去の記事を転載したものです。
・過去の記事のため、一部内容を加筆・修正しています。
・2026年8月:脚注をAIを用いて追加しました。