筋・筋膜性疼痛症候群とは、筋肉や、その表面を包む「筋膜」に負担がかかり続けることで、筋肉がかたくなり、痛みやこりが生じる状態をいいます。
英語では Myofascial Pain Syndrome(MPS) と呼ばれます。

筋肉の中には、「トリガーポイント」と呼ばれる強い痛みのポイントができることがあります。
この部分を押すと痛むだけでなく、離れた場所にまで痛みが広がることがあります。

レントゲンやMRIでは異常が見つからないことも多いため、「異常がないと言われたのに痛い」と悩まれる方も少なくありません。
首、肩、腰、お尻、腕、脚など、全身のさまざまな部位に起こります。

どんな症状が出るの?

主な症状として、次のようなものがあります。

・押すと強く痛む場所がある
・筋肉が重だるい、つっぱる、こる感じが続く
・動かすと痛む、動かしにくい
・痛みが別の場所に広がる(関連痛)
・長時間同じ姿勢のあとに悪化する
・疲れやすい
・朝起きた時に体がこわばる

痛みが長引くことで、

・睡眠の質が低下する
・集中しにくくなる
・不安やイライラが強くなる

こともあります。

なぜ起こるの?

筋・筋膜性疼痛症候群は、一つの原因だけで起こるわけではありません。
さまざまな負担が積み重なることで起こると考えられています。

主な要因として、

・長時間のデスクワークやスマートフォン操作
・無理な姿勢や同じ動作のくり返し
・運動不足や筋力低下
・冷え
・ストレスや緊張
・睡眠不足や疲労
・ケガや手術後の筋肉の緊張

などがあります。

筋肉に負担がかかり続けることで、血流が悪くなり、筋肉がかたくなって痛みが生じると考えられています。

どのように診断するの?

診断では、症状の内容や生活習慣を詳しく確認します。

医師や施術者は、

・痛みの場所
・押した時の痛み
・筋肉の緊張の程度
・痛みが広がる場所
・姿勢や動き方

などを確認します。

必要に応じて、

・レントゲン
・MRI
・血液検査

などを行い、ほかの病気が隠れていないかを調べます。

治療の基本

治療では、筋肉への負担を減らし、緊張をやわらげることが大切です。

主な治療として、

・姿勢や作業環境の見直し
・ストレッチや体操
・適度な運動
・温めるケア(入浴、温罨法など)
・鎮痛薬や湿布
・理学療法(リハビリ、運動療法など)

が行われます。

症状が強い場合には、医療機関でトリガーポイント注射などが検討されることもあります。

長期間の安静は、かえって筋肉を弱らせ、回復を遅らせることがあります。
無理のない範囲で少しずつ体を動かすことが大切です。

鍼灸は役立つの?

鍼灸は、筋・筋膜性疼痛症候群に対する補助的な方法として用いられることがあります。
特に、トリガーポイントを意識した鍼治療は、慢性的な筋肉の痛みやこりに対して研究が行われています。

鍼やお灸によって、

・筋肉の緊張をやわらげる
・血流を改善する
・痛みの感じ方を調整する
・神経の興奮を落ち着かせる
・体の緊張を緩和する

といった作用が期待されています。

一部の研究では、慢性的な筋肉痛や肩こり、腰痛などに対して、鍼治療による症状改善が報告されています。

ただし、鍼灸だけで原因を判断することは難しく、標準的な医療の代わりになるものではありません。
特に、

・強いしびれがある
・力が入りにくい
・発熱を伴う
・急激に悪化している
・夜も眠れないほど痛む
・体重減少がある

といった場合は、ほかの病気が隠れている可能性があります。

まず医療機関で適切な診断を受けることが大切です。

日常生活で気をつけたいこと

症状を悪化させないためには、日常生活の工夫も重要です。

・長時間同じ姿勢を続けない
・30〜60分ごとに軽く体を動かす
・無理のない範囲でストレッチを行う
・体を冷やしすぎない
・急に強い運動をしない
・十分な睡眠と休養をとる
・ストレスをため込みすぎない

痛みが強い時は無理をせず、できることから少しずつ続けることが大切です。

まとめ

筋・筋膜性疼痛症候群は、筋肉や筋膜の緊張によって起こる慢性的な痛みの状態です。
レントゲンやMRIで異常が見つからなくても、実際につらい痛みやこりが続くことがあります。

治療の基本は、筋肉への負担を減らし、生活習慣を整えることです。
鍼灸は、筋肉の緊張や痛みをやわらげる補助的な方法として役立つ可能性があります。

症状が長引く場合や強い痛みがある場合は、我慢せず医療機関に相談しながら、自分に合った治療を続けていくことが大切です。