不眠症とは、十分に眠ろうとしているのに、

・寝つけない
・夜中に何度も目が覚める
・朝早く目が覚めてしまう
・ぐっすり眠れた感じがしない

といった状態が続き、日中の生活に支障が出ている状態を指します。

一時的な寝不足とは異なり、睡眠の問題が続いていることが特徴です。

日本人では不眠の悩みを抱える人は多く、年齢とともに増える傾向があります。

最近の医学研究では、不眠症は「眠れないだけ」の問題ではなく、心身の健康全体に関わる状態と考えられています。

なぜ起こるの?

不眠症は、一つの原因だけで起こることは少なく、いくつかの要因が重なって起こることが多いです。

関係するものとして、次のようなものがあります。

・ストレスや不安
・生活リズムの乱れ
・夜更かし
・就寝前のスマートフォンやパソコン
・カフェインやアルコール
・運動不足
・昼寝のしすぎ
・加齢による睡眠の変化
・痛みやかゆみ
・頻尿
・うつ病や不安障害
・睡眠時無呼吸症候群
・薬の副作用

また、「眠れないことへの不安」が強くなることで、さらに眠れなくなる悪循環が起こることもあります。

どんな症状が出るの?

不眠症では、夜の症状と日中の症状の両方がみられることがあります。

夜の症状

・寝つくまで時間がかかる
・夜中に何度も目が覚める
・朝早く目が覚める
・眠りが浅い
・熟睡感がない

日中の症状

・眠気
・疲労感
・集中力の低下
・仕事や勉強の効率低下
・イライラ
・気分の落ち込み
・意欲低下

症状の感じ方には個人差があります。

どうやって診断するの?

診断では、睡眠の状態や生活習慣について詳しく確認します。

医師は、

・何時ごろ寝ているか
・寝つくまでどのくらいかかるか
・夜中に何回起きるか
・睡眠時間
・昼寝の習慣
・ストレスの状況
・飲んでいる薬

などを確認します。

必要に応じて、

・睡眠日誌
・質問票
・睡眠検査

などが行われることもあります。

また、睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、ほかの病気が隠れていないか確認することも大切です。

治療の基本

不眠症の治療では、まず睡眠習慣を整えることが重要です。

睡眠習慣の改善

・毎日なるべく同じ時間に起きる
・朝に日光を浴びる
・適度な運動をする
・寝る前のスマートフォンを控える
・カフェインやアルコールをとりすぎない
・長い昼寝を避ける
・「眠れないのに長時間布団にいる」ことを減らす

などが勧められます。

認知行動療法

不眠症では、認知行動療法(CBT-I)が有効とされています。

睡眠への不安や生活習慣を見直し、自然な眠りを取り戻すことを目指します。

近年のガイドラインでも、慢性不眠症に対して重要な治療法とされています。

薬物療法

必要に応じて、睡眠薬が使われることがあります。

現在は、依存やふらつきに配慮した薬も使われていますが、自己判断で増減したり急に中止したりしないことが大切です。

薬は症状や年齢、体調に合わせて慎重に調整されます。

鍼灸は役立つの?

鍼灸は、不眠症に対する補助的な方法として研究されています。

鍼やお灸の刺激によって、自律神経の働きや筋肉の緊張に影響し、心身がリラックスしやすくなる可能性があると考えられています。

一部の研究では、

・寝つき
・睡眠の質
・中途覚醒
・不安感

などの改善が報告されています。

ただし、研究結果にはばらつきがあり、効果には個人差があります。

鍼灸だけで不眠症を治療できるとまでは言えず、生活習慣の改善や認知行動療法などの標準治療を基本にすることが大切です。

鍼灸は、心身の緊張をやわらげる補助的な方法として併用されることがあります。

受診の目安

次のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。

・眠れない状態が数週間以上続く
・日中の生活に支障がある
・強い眠気で仕事や運転に影響する
・気分の落ち込みや不安が強い
・いびきや無呼吸を指摘されている
・睡眠薬が効きにくい
・アルコールがないと眠れない

また、

・「消えてしまいたい」と感じる
・強い抑うつ状態がある

場合は、早めに専門機関へ相談することが大切です。

まとめ

不眠症は、寝つきの悪さや途中で目が覚める状態が続き、日中の生活にも影響する病気です。

ストレスや生活習慣、体や心の病気など、さまざまな要因が関係しています。

治療では、生活習慣の見直しや認知行動療法が重要で、必要に応じて薬物療法も行われます。

鍼灸は、心身の緊張をやわらげ、睡眠を整える補助的な方法として役立つ可能性があります。

眠れない状態を我慢し続けず、つらいときは医療機関へ相談しましょう。