膝前面痛症候群とは、膝のお皿(膝蓋骨)の周囲や膝の前側に痛みが起こる状態をいいます。
特に、スポーツをする若い方や成長期の方に多くみられますが、運動習慣の少ない方でも起こることがあります。
医学的には「膝蓋大腿関節痛症候群(PFPS)」と呼ばれることもあります。
レントゲンなどで大きな異常が見つからなくても、痛みが続くことがあります。
なぜ起こるの?
膝前面痛症候群は、膝のお皿と太ももの骨の間に繰り返し負担がかかることで起こると考えられています。
特に、
・太ももの筋力バランスの乱れ
・股関節や足首の柔軟性低下
・運動のしすぎ
・急な運動量の増加
・姿勢やフォームのくずれ
などが関係します。
また、
・長時間座る
・階段の昇り降り
・しゃがむ動作
など、日常生活の動作でも膝に負担がかかることがあります。
女性では、骨盤や脚の角度の影響で起こりやすいとされる報告もあります。
どんな症状が出るの?
主な症状は、膝のお皿の周囲や前側の痛みです。
次のような場面で痛みが出やすくなります。
・階段の昇り降り
・しゃがむ
・走る
・ジャンプする
・長時間座ったあとに立ち上がる
「膝の奥が重だるい」「鈍く痛む」と感じる方もいます。
症状が進むと、運動を続けにくくなることもあります。
どうやって診断するの?
診断は、症状の経過や痛みの出る動作を確認しながら行います。
医師は、
・どの動きで痛むか
・膝のお皿周囲に圧痛があるか
・筋力や柔軟性の状態
・歩き方や姿勢
などを確認します。
必要に応じて、
・レントゲン検査
・MRI検査
などを行い、
・半月板損傷
・靱帯損傷
・軟骨の障害
・成長期の骨の病気
など、ほかの病気がないかを調べます。
治療の基本
治療の中心は、膝への負担を減らし、筋力や動きのバランスを整えることです。
まずは、
・運動量の調整
・膝を休ませる
・痛みが強い動作を減らす
ことが大切です。
そのうえで、
・太ももの筋力トレーニング
・股関節まわりの運動
・ストレッチ
・フォーム改善
などの運動療法が行われます。
必要に応じて、
・消炎鎮痛薬
・テーピング
・サポーター
などを用いることもあります。
多くの場合、手術をせずに改善が期待できます。
日常生活で気をつけたいこと
症状を悪化させないためには、日頃の体の使い方も重要です。
・急に運動量を増やさない
・運動前後にストレッチを行う
・長時間同じ姿勢を避ける
・クッション性のある靴を選ぶ
・体重管理を心がける
ことなどが役立ちます。
無理に運動を続けると、痛みが長引くことがあるため注意が必要です。
鍼灸は役立つの?
鍼灸は、膝前面痛症候群に対する補助的な方法として用いられることがあります。
鍼やお灸の刺激によって、
・太ももや膝周囲の筋緊張をやわらげる
・血流を促す
・痛みを感じにくくする
可能性があると考えられています。
一部の研究では、運動療法と組み合わせることで、痛みや動作時の不快感が軽減したという報告があります。
ただし、研究結果にはばらつきがあり、鍼灸だけで根本的に改善できるとは限りません。
そのため、筋力トレーニングや生活調整を基本としながら、補助的に取り入れることが大切です。
受診の目安
次のような場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
・膝の痛みが数週間以上続く
・歩行や運動に支障がある
・膝が腫れている
・痛みが徐々に悪化している
・膝が引っかかる、動かしにくい
強い腫れや発熱を伴う場合は、ほかの病気の可能性もあるため、早めの受診が必要です。
まとめ
膝前面痛症候群は、膝への繰り返しの負担によって起こることが多い症状です。
特に、運動量の多い方や成長期の方にみられます。
治療では、運動量の調整や筋力・柔軟性の改善が重要になります。
鍼灸は、筋緊張や痛みをやわらげる補助的な方法として役立つ可能性があります。
症状が長引く場合は、自己判断で無理を続けず、医療機関へ相談しましょう。
