現在、鍼の施術では「管鍼法」という方法が一般的に使われています。
これは、細い筒(鍼管)の中に鍼を入れて、安全かつ正確に刺す方法です。
1.管捌き(挿管法)
鍼を鍼管に入れる作業を「管捌き」または「管取り」といいます。
この方法には、「両手で行う方法」と「片手で行う方法」があります。
① 双手挿管法
これは、両手を使って鍼を鍼管に入れる方法です。
主に初心者や、まだ慣れていない人が行います。
方法
- 鍼の持ち手部分(鍼柄)の頭を、鍼管の入り口に合わせます。
- 反対側を、刺す側の手の親指と人差し指で支えます。
- このとき、鍼の先端(鍼尖)が管から飛び出さないよう注意します。
- 最後に、鍼柄の頭と鍼管の口を一緒につまんで固定します。
② 隻手挿管法
これは、片手だけで鍼を鍼管に入れる方法です。
初心者には少し難しいですが、練習すれば誰でもできるようになります。
基本的なやり方
- 刺し手の親指と人差し指で鍼柄をつまみます。
- 手の中に持った鍼管の端から、鍼柄を差し込みます。
- このとき、鍼柄の頭を鍼管の入り口より指先側に置くのがポイントです。
- 鍼柄の頭を、鍼管の外側をなぞるように動かしていくと、自然に入り口に導かれます。
- 鍼柄の頭が入り口に当たったら、重みを利用して鍼を管の中へ落とします。
その後、
- 鍼の先端が飛び出していないか確認する
- 鍼管を回転させながら位置を整える
- 鍼柄と鍼管を同時につまんで固定する
という流れで準備を行います。
この方法を正しく行うことで、
- 鍼を落としにくい
- 不意に皮膚を刺して痛みを与える危険を減らせる
という利点があります。
河井貞昇氏は『鍼科全書』の中で、昔から伝わる隻手挿管法について述べています。
河井氏は、
- この技術に慣れていないと、かえって時間がかかる
- 技術が未熟だと思われることもある
と指摘しています。
そのため、この技術は非常に重要であり、自分でも改良を加えて、「片手だけで確実にできる方法」を考案したと記しています。
なお、この方法は、すでに《杉山真伝流》で秘伝として弟子に伝えられていたものでもあります。
参考文献:柳谷素霊『鍼灸の実技』(昭和三十四年)
