脳卒中後遺症とは、
・脳梗塞
・脳出血
・くも膜下出血
などの脳卒中のあとに、身体や認知機能の障害が残る状態をいいます。
急性期の治療が終わったあとも、
・手足の麻痺
・しびれ
・話しにくさ
・歩きにくさ
などが続くことがあります。
症状の程度には個人差があり、軽い違和感だけの場合もあれば、日常生活に大きな支援が必要になる場合もあります。
現在では、適切なリハビリテーションを継続することで、機能の改善や生活の質(QOL)の向上が期待できることが分かっています。
なぜ症状が残るの?
脳卒中では、脳の血流が障害されることで、神経細胞が損傷を受けます。
損傷した神経細胞は完全には元に戻らないことがありますが、脳には「可塑性(かそせい)」という働きがあります。
これは、残っている神経回路が新しい役割を学習し、失われた機能を補おうとする力のことです。
リハビリを続けることで、この可塑性が促され、少しずつ動作や機能の回復が進むことがあります。
ただし、
・障害された部位
・脳損傷の範囲
・年齢
・全身状態
などによって、回復の程度は異なります。
どんな症状が出るの?
運動機能の障害
よくみられる症状として、
・手足の麻痺
・力が入りにくい
・細かい動作が難しい
・歩きにくい
などがあります。
片側だけに症状が出ることが多く、「片麻痺」と呼ばれます。
痙縮(けいしゅく)
筋肉が過剰に緊張し、
・手足がつっぱる
・関節が動かしにくい
・痛みが出る
ことがあります。
時間がたつにつれて強くなる場合もあります。
感覚障害
・しびれ
・触った感覚の低下
・温度が分かりにくい
などがみられることがあります。
高次脳機能障害
脳の働きの障害によって、
・注意力低下
・記憶障害
・感情の変化
・失語症(言葉の障害)
・半側空間無視
などが起こる場合があります。
その他の症状
・疲れやすさ
・肩や関節の痛み
・飲み込みづらさ(嚥下障害)
・バランス障害
なども少なくありません。
どうやって評価するの?
診察やリハビリでは、
・筋力
・関節の動き
・筋緊張
・歩行能力
・日常生活動作(ADL)
などを定期的に確認します。
必要に応じて、
・CT
・MRI
などの画像検査も行われます。
これらを総合して、現在の状態や今後のリハビリ方針を判断します。
治療の基本
脳卒中後遺症の治療の中心は、リハビリテーションです。
理学療法(PT)
歩行や立ち上がりなど、身体機能の回復を目指します。
作業療法(OT)
食事、更衣、家事など、日常生活動作の練習を行います。
言語療法(ST)
・言葉の障害
・飲み込みの障害
などに対応します。
薬物療法
必要に応じて、
・痙縮をやわらげる薬
・痛みを抑える薬
・再発予防の薬
などが使用されます。
脳卒中は再発予防も非常に重要です。
そのため、
・血圧管理
・糖尿病管理
・禁煙
・運動習慣
なども大切になります。
鍼灸は役立つの?
鍼灸は、脳卒中後遺症に対する標準治療ではありません。
しかし、近年はリハビリと併用する補助療法として研究が進められています。
一部の研究では、
・筋緊張の軽減
・痛みの緩和
・手足の動かしやすさ
・生活の質(QOL)
などの改善が報告されています。
考えられている作用としては、
・血流改善
・筋肉の緊張調整
・神経系への刺激
・自律神経の調整
などがあります。
ただし、研究結果にはばらつきがあり、すべての方に同じ効果が確認されているわけではありません。
そのため現在の医学では、
「リハビリを基本としながら、補助的に併用する」
という位置づけになっています。
鍼灸を受けるときの注意点
脳卒中後は、
・血液をさらさらにする薬
・抗凝固薬
を使用している方も少なくありません。
出血しやすくなることがあるため、施術前に必ず医師や鍼灸師へ伝えることが大切です。
また、
・急な麻痺の悪化
・強い頭痛
・意識障害
・ろれつが回らない
などがある場合は、再発の可能性もあるため、すぐに医療機関へ相談してください。
日常生活で大切なこと
回復には時間がかかることが多く、焦りすぎないことが大切です。
そのうえで、
・継続的なリハビリ
・適度な運動
・十分な睡眠
・栄養管理
・再発予防
を続けることが重要です。
また、家族や周囲の支援も、回復を支える大切な要素になります。
まとめ
脳卒中後遺症は、脳の損傷によって、
・麻痺
・しびれ
・言葉の障害
・歩行障害
などが残る状態です。
回復には個人差がありますが、リハビリテーションを継続することで、機能改善や生活の質の向上が期待できます。
治療の基本は医療機関でのリハビリですが、鍼灸は補助的な方法として役立つ可能性があります。
主治医やリハビリスタッフと連携しながら、自分に合った方法を継続していくことが大切です。
