頭痛はとても身近な症状ですが、原因や種類によって対処法が異なります。

一時的な疲労によるものもあれば、慢性的に続くもの、まれに命に関わる病気が隠れているものもあります。

国際頭痛分類や日本頭痛学会のガイドラインでは、頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられています。[1]

一次性頭痛は、脳に重大な病気がない頭痛です。

代表的なものに、

・緊張型頭痛
・片頭痛
・群発頭痛

があります。[1]

一方、二次性頭痛は、別の病気が原因で起こる頭痛です。

脳出血、髄膜炎、脳腫瘍などが含まれます。[1]

よくある頭痛の種類

緊張型頭痛

最も多いタイプの頭痛です。[2]

首や肩の筋肉の緊張、長時間のデスクワーク、ストレス、睡眠不足などが関係すると考えられています。[2]

特徴として、

・頭全体が締めつけられるように痛む
・重だるい感じが続く
・肩こりや首こりを伴いやすい

などがあります。[1][2]

日常生活は続けられることが多いですが、慢性化すると生活の質が低下します。

片頭痛

片頭痛は、脳の神経や血管の過敏性が関係する頭痛です。

20〜40代の女性に多くみられます。[3]

特徴は、

・ズキズキと脈打つ痛み
・片側に起こることが多い
・光や音、においがつらい
・吐き気を伴うことがある
・体を動かすと悪化しやすい

などです。[1][3]

寝不足だけでなく、「寝すぎ」、空腹、月経、気圧変化などがきっかけになることがあります。[3]

群発頭痛

頻度は少ないですが、非常に強い痛みを伴う頭痛です。

男性に比較的多くみられます。[1]

特徴として、

・片目の奥をえぐられるような激痛
・毎日ほぼ同じ時間帯に起こる
・数週間〜数か月まとまって続く
・涙、鼻水、目の充血を伴う

などがあります。[1]

強い苦痛を伴うため、専門的な治療が必要です。

なぜ頭痛が起こるの?

頭痛の原因はひとつではありません。

次のような要因が関係します。

・首や肩の筋緊張
・姿勢の崩れ
・長時間のスマートフォンやパソコン作業
・睡眠不足や睡眠リズムの乱れ
・ストレスや精神的緊張
・気圧や天候の変化
・ホルモンバランスの変化
・脱水や空腹
・薬の使いすぎ

頭そのものが痛みを感じるわけではなく、血管、神経、筋肉、周囲の膜などが刺激されることで痛みとして感じます。[1]

注意が必要な頭痛

次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。

・突然起こった激しい頭痛
・「今までで一番痛い」と感じる頭痛
・徐々に悪化していく頭痛
・発熱、吐き気、意識障害を伴う
・手足のしびれ、麻痺、言葉の出にくさがある
・けいれんを伴う
・頭を打ったあとに続く頭痛
・妊娠中の強い頭痛
・いつもの頭痛と明らかに違う

このような場合、

・くも膜下出血
・脳出血
・脳梗塞
・髄膜炎
・脳腫瘍
・脳動脈解離
・妊娠高血圧症候群

などが隠れていることがあります。[4]

自己判断で様子を見続けず、救急受診を含めて速やかに医療機関へ相談することが大切です。

どんな検査や治療をするの?

診察では、

・頭痛の場所
・痛み方
・持続時間
・頻度
・きっかけ
・生活習慣

などを確認します。

必要に応じて、

・血液検査
・CT
・MRI

などを行います。[4]

治療は頭痛の種類によって異なります。

緊張型頭痛

・ストレッチ
・姿勢改善
・睡眠改善
・鎮痛薬
・運動療法

などが中心です。[1]

片頭痛

・トリプタン製剤
・鎮痛薬
・予防薬
・生活習慣の調整

などを行います。

近年は、CGRP関連薬という新しい予防治療も使われています。[5]

群発頭痛

・酸素吸入
・トリプタン製剤
・予防薬

など専門的治療が行われます。[1]

なお、痛み止めを頻繁に使用しすぎると、「薬物乱用頭痛」が起こることがあります。[5]

市販薬も含め、自己判断で飲み続けないことが大切です。

鍼灸は頭痛に役立つの?

鍼灸は、特に緊張型頭痛や慢性頭痛に対する補助療法として用いられることがあります。

国内外の研究では、慢性的な頭痛の頻度や痛みの強さを軽減する可能性が報告されています。[6][7]

期待される作用として、

・首や肩の筋緊張を和らげる
・血流を改善する
・自律神経のバランスを整える
・ストレスや不安を軽減する
・睡眠の質を改善する

などがあります。

特に、

・肩こりが強い
・ストレスで悪化しやすい
・慢性的に繰り返す

といったタイプでは、症状緩和につながることがあります。[6][7]

ただし、鍼灸だけで重大な病気を見分けることはできません。

突然の強い頭痛や神経症状を伴う場合は、まず医療機関での診断が優先です。[4]

また、抗凝固薬を服用している方、妊娠中の方、重い持病のある方は、事前に医師や鍼灸師へ相談しましょう。

日常生活で気をつけたいこと

頭痛は生活習慣の影響を受けやすい症状です。

予防のためには、

・睡眠リズムを整える
・長時間同じ姿勢を避ける
・こまめに休憩する
・水分をしっかりとる
・食事を抜かない
・適度な運動を行う
・ストレスをため込みすぎない
・痛み止めを使いすぎない

ことが大切です。

「頭痛日記」をつけると、

・天気
・睡眠
・食事
・月経
・ストレス

などとの関係が分かりやすくなり、治療にも役立ちます。

まとめ

頭痛にはさまざまな種類があり、原因や対処法はそれぞれ異なります。

多くは命に関わらない頭痛ですが、危険な病気が隠れている場合もあるため、いつもと違う症状には注意が必要です。[4]

適切な診断を受けたうえで、

・薬物療法
・生活改善
・運動療法
・ストレスケア
・鍼灸

などを組み合わせることで、症状の改善や再発予防が期待できます。

つらい頭痛を我慢し続けず、気になる症状がある場合は早めに医療機関へ相談しましょう。

【脚注一覧】

[1] 日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会(訳)『国際頭痛分類 第3版』医学書院, 2018.(一次性頭痛・二次性頭痛の分類、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の診断基準)
日本神経学会・日本頭痛学会・日本内科学会(監修)『頭痛の診療ガイドライン2021』医学書院, 2021.(前版『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』から二次性頭痛の項目を追加し、タイトルを「頭痛の診療ガイドライン」に変更)

[2] 頭痛の診療ガイドライン2021:CQⅢ-2「わが国における緊張型頭痛の有病率はどの程度か」の項。緊張型頭痛が頭痛の中で最も頻度の高いタイプであるとの記載。

[3] 頭痛の診療ガイドライン2021:片頭痛の疫学に関する項。片頭痛は女性に多く、20〜40代に好発するとの記載。月経、空腹、気圧変化などの誘因についても同様。

[4] 頭痛の診療ガイドライン2021:二次性頭痛を疑うべき警告症状(red flags)の項。突然発症の激しい頭痛(雷鳴頭痛)、増悪する頭痛、神経症状を伴う頭痛などがくも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳腫瘍などの二次性頭痛を示唆するとの記載。

[5] 頭痛の診療ガイドライン2021:CGRP関連薬(抗CGRP抗体・抗CGRP受容体抗体)による片頭痛予防治療、および薬物の使用過多による頭痛(Medication-Overuse Headache; MOH、旧称:薬物乱用頭痛)に関する項。

[6] Linde K, Allais G, Brinkhaus B, Fei Y, Mehring M, Shin BC, Vickers A, White AR. Acupuncture for the prevention of tension-type headache. Cochrane Database Syst Rev. 2016;(4):CD007587.(鍼治療が緊張型頭痛の頻度軽減に有効な可能性を示すコクランレビュー。ただしエビデンスの質には限界があるとされている)

[7] Linde K, Allais G, Brinkhaus B, Manheimer E, Vickers A, White A. Acupuncture for the prevention of episodic migraine. Cochrane Database Syst Rev. 2016;(6):CD001218.(片頭痛の予防に対する鍼治療の有効性を検討したコクランレビュー。偽鍼と比較して緩やかな効果を認めたとする報告)

・これらは、お知らせブログの過去の記事を転載したものです。
・過去の記事のため、一部内容を加筆・修正しています。
・2026年8月:脚注をAIを用いて追加しました。