月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)とは、生理(月経)が始まる数日前から、心や体にさまざまな不調があらわれ、生理が始まると軽くなる、または消えていく状態をいいます。
症状のあらわれ方には個人差があり、軽い不調ですむ方もいれば、仕事や学校、日常生活に大きな影響が出る方もいます。
日本産科婦人科学会などでも、PMSは珍しいものではなく、適切な対処が大切とされています。
なぜ起こるの?
はっきりした原因は、まだ完全には解明されていません。
現在は、排卵後から月経前にかけて変動する女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が、脳や自律神経、感情に関わる神経伝達物質に影響することが関係していると考えられています。
また、次のような要素も症状に影響するとされています。
・ストレスや緊張
・睡眠不足
・生活リズムの乱れ
・疲労の蓄積
・冷え
・運動不足
・体質や性格傾向
症状は「気のせい」ではなく、体と心の変化として実際に起こるものです。
どんな症状が出るの?
症状は人によって異なり、身体症状と精神症状の両方がみられることがあります。
身体の症状
・下腹部の張りや痛み
・乳房の張りや痛み
・頭痛、頭が重い感じ
・むくみ
・だるさ、疲れやすさ
・眠気
・便秘や下痢
心の症状
・イライラしやすい
・不安感
・気分の落ち込み
・涙もろくなる
・集中しにくい
・怒りっぽくなる
症状は月経前に繰り返し起こり、生理開始後に軽くなることが特徴です。
気分の落ち込みや不安、怒りなどが特に強く、日常生活に大きな支障が出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)という状態に該当することもあります。
どうやって診断するの?
PMSには、特別な血液検査だけで診断できる方法はありません。
医師は、
・どんな症状があるか
・いつ症状が出るか
・月経との関係
・生活への影響
などを確認しながら診断します。
症状日記やアプリなどで、月経周期と体調の変化を記録すると、診断や治療の参考になります。
必要に応じて、甲状腺疾患やうつ病、貧血など、ほかの病気が隠れていないかを調べることもあります。
治療の基本
治療は、症状の強さや生活への影響に応じて行われます。
まず大切なのは、生活習慣を整えることです。
・十分な睡眠をとる
・適度に運動する
・無理をしすぎない
・ストレスをため込みすぎない
・体を冷やしすぎない
・カフェインやアルコールをとりすぎない
こうした工夫で、症状が軽くなる方もいます。
症状が強い場合には、医師の判断で、
・鎮痛薬
・低用量ピル
・漢方薬
・抗うつ薬(SSRI)
などが使われることがあります。
最近のガイドラインでも、生活改善と薬物療法を組み合わせながら、無理なく続けることが勧められています。
鍼灸は役立つの?
鍼灸は、PMSに対する補助的な方法として用いられることがあります。
研究では、鍼灸刺激によって、
・自律神経のバランスを整える
・筋肉の緊張をやわらげる
・血流を改善する
・ストレス反応を和らげる
可能性が示されています。
その結果、
・イライラ
・不安感
・肩こり
・下腹部の張り
・だるさ
などが軽くなったと感じる方もいます。
ただし、効果には個人差があります。
鍼灸だけでPMSを完全に改善できるとは限らないため、標準的な医療を基本としながら、補助的に取り入れることが大切です。
受診の目安
次のような場合は、婦人科や医療機関への相談をおすすめします。
・症状が年々強くなっている
・仕事や学校に支障が出ている
・気分の落ち込みが強い
・イライラや不安で人間関係に影響が出る
・月経と関係なく症状が続く
・市販薬で改善しない
無理に我慢せず、早めに相談することが大切です。
まとめ
月経前症候群(PMS)は、月経前に心や体にさまざまな不調があらわれる状態です。
女性ホルモンの変動に加え、ストレスや生活習慣なども関係していると考えられています。
治療の基本は、生活習慣の見直しと必要に応じた医療的サポートです。
鍼灸は、自律神経や体の緊張を整える補助的な方法として役立つ可能性があります。
症状を我慢しすぎず、自分に合った方法を医師や専門家と一緒に見つけていくことが大切です。
