顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を動かす「顔面神経」の働きが低下し、顔の片側が動かしにくくなる状態をいいます。

その中でも、原因となる病気がはっきり特定できないものを「ベル麻痺」と呼びます。

多くは突然起こり、朝起きたときに、
・顔が動かしにくい
・口元がゆがんでいる
・目が閉じにくい
などに気づくことがあります。

顔面神経麻痺は珍しい病気ではなく、年齢を問わず起こる可能性があります。

なぜ起こるの?

ベル麻痺の正確な原因は、まだ完全には解明されていません。

現在では、ヘルペスウイルスなどの再活性化によって顔面神経に炎症が起こり、神経がむくむことで、神経の信号が伝わりにくくなると考えられています。

発症には、
・強い疲労
・睡眠不足
・ストレス
・体調不良
などが関係することもあります。

顔面神経は、狭い骨の通り道の中を走っているため、炎症によって神経が圧迫されやすい特徴があります。

どんな症状が出るの?

主な症状は、顔の片側の動かしにくさです。

具体的には、
・片側の口角が下がる
・笑いにくい
・頬に空気をためにくい
・食べ物や飲み物がこぼれる
・目をしっかり閉じられない
などがみられます。

そのほかにも、
・味が分かりにくい
・耳の後ろの痛み
・音が響いて聞こえる
・涙や唾液の量の変化
などを伴うことがあります。

症状の強さには個人差があり、軽い違和感程度の場合もあれば、顔全体がほとんど動かなくなることもあります。

どうやって診断するの?

診断では、症状の出方や経過を詳しく確認します。

医師は、
・顔の動き
・左右差
・額や口元の動き
などを診察し、神経の働きを評価します。

必要に応じて、
・血液検査
・MRIなどの画像検査
を行い、脳卒中や腫瘍など、他の病気が隠れていないかを確認します。

これらを総合して、ベル麻痺かどうかを判断します。

治療の基本

顔面神経麻痺は、できるだけ早く治療を始めることが重要です。

一般的には、
・炎症を抑えるステロイド薬
・必要に応じた抗ウイルス薬
が使用されます。

特に発症早期の治療が、回復の可能性に関わると考えられています。

また、目が閉じにくい場合には、
・点眼薬
・眼帯
・乾燥予防
など、角膜を守るケアも重要です。

回復期には、表情筋のリハビリテーションが行われることもあります。

鍼灸は役立つの?

鍼灸は、顔面神経麻痺に対する補助的な方法として用いられることがあります。

鍼やお灸の刺激によって、
・顔や首周囲の血流改善
・筋肉の緊張緩和
・神経回復のサポート
などが期待されています。

一部の研究では、
・回復までの期間の短縮
・後遺症の軽減
などが報告されています。

ただし、鍼灸だけで顔面神経麻痺を治せるわけではありません。

まずは医療機関で適切な診断と治療を受け、そのうえで補助的に取り入れることが大切です。

受診の目安

顔の動きに急な左右差が出た場合は、早めに医療機関を受診してください。

特に、
・手足のしびれ
・ろれつが回らない
・強い頭痛
・意識がぼんやりする
などを伴う場合は、脳卒中などの可能性もあるため、緊急受診が必要です。

また、
・目が閉じられない
・症状が悪化している
・数週間たっても改善が乏しい
場合も、継続的な診察が重要です。

まとめ

顔面神経麻痺(ベル麻痺)は、突然起こることが多い病気ですが、早期に適切な治療を行うことで、回復が期待できる場合が多くあります。

治療の基本は、医療機関での標準的な治療とケアです。

鍼灸は、筋肉の緊張緩和や回復のサポートを目的とした補助的な方法として用いられることがあります。

不安があるときは、一人で抱え込まず、医師や鍼灸師と相談しながら、安全性を重視して進めていくことが大切です。